私のこの一穴

肩こり・美容・痛みの緩和治療など、様々な症状に対応

みなさんが知らないツボ刺激の効果について、鍼灸師がご紹介します。

膏肓付近の凝りと心疾患

中村 辰三

前回、「わたしのこの一穴」で内野教授が紹介されていた膏肓について私自身の体験を述べましょう。「病膏肓に入る」とは一説に、「不治の病に罹る、治る見込みのない病気になること」を意味しています。また「膏肓に500壮灸をすると病なし」とも言われる名穴です。

(1)私は約40年前、ボストンに約2年間在住していました。それはアメリカ人に鍼灸の指導やクリニック(Acupuncture Center of Mass)で鍼灸治療をするためでした。日本を出発する前に心臓に不安があり、A-V Brockと診断され気分が悪く不整脈が出ていました。
アメリカでも1975年頃、ストレスの為か心臓の調子が悪くなり、左肩こりや左の膏肓を中心とする肩甲間部が酷く凝っていました。鍼灸の鍼では頼りなく千枚透し(文房具)のように太いもので刺してほしい気分でしたが本当に刺わけにもいかず、そこでお灸をすることにしました。「500壮すえると病なし」を思い出し鍼灸師の妻に左膏肓穴を中心として厥陰兪(けついんゆけつ)、心兪など凝りや圧痛にあるツボに灸、米粒大100壮程すえてもらいました。数回施術したと思いますが、辛い凝り症状も改善され、不整脈など心臓の調子も正常に戻りました。その後現在まで検診においても異常と指摘されたことはありません。

(2)ゴルフ場のお風呂での出来事です。風呂に入ろうとしている私に、先にお風呂に入っていた親友の兄が心臓の調子がおかしく、気分が悪くて動けない状態だと親友が私に言って来た。お互い裸だったので、とっさに左手前腕掌側中央の郄門穴(げきもんけつ)を母指で指圧し、親友に続けて押すように指示し、私は背中の左膏肓、心兪、厥陰兪を数分指圧したところ、患者はふーと息を吐き「ああー楽になった」といったのですぐに病院に行くように指示した。

(3)最近の話ですが仕事上、極親しい方の肩こり治療の後に、その日の朝から心臓が胸の前でバクバクして気分が悪いと言い出し、脈を診ると不整脈があった。(2)の例と同様のツボに置鍼10分間した後、左背中のツボ(膏肓、心兪、厥陰兪)にお灸を各穴7壮すえると不整脈が正常になった。本人も気分が良く楽になったといっていた。

この様に体に反応の出ているツボへの施術は実によく効くものです。鍼灸師はあらゆる病気や症状に対して体に現われている反応を見つけて、鍼や灸を用いて治療することができる資格であり、明治7年以前は医師だったのです。